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タイピング

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タイピング教えてますか?


「タイピング教えてますか?」「タイピングの指導はどうしてますか?」視察に来た方にも訊かれますし,セミナでもご質問をいただきます。前任校も今の学校でも,タイピングはまったく指導していません。もちろん質問されれば教えますし,ちゃんと練習したいという生徒にも対応はします。


でも,わざわざ授業で時間を取ってやる気にはなりません。授業時間外の課題としてでも何かアプリやサービスを使って練習するように指示するつもりもありません。


タイピングしたくなるテーマを


私が生徒だったら,自分が打ちたくもない文章をなんでタイピングしなきゃいけないのか不満を持つと思います。入力したって,それは何にも使えないのです。それが練習というものだと言ってしまえばそれまでですけど。


思わずタイピングしたくなるテーマ,自分が誰かに考えたことを何とかして伝えたいと思うようなテーマを私たちが設定することが一番です。伝えたいことがあれば必死にタイピングするだろうし,入力した文章は使えるものだし,いいことばかりですよね。


フリック入力のトレーニング


生徒を見ていてフリック入力のスピードに驚きませんか? じゃあ,学校ではフリック入力を教えたのでしょうか。トレーニングしてますか? スマホを使って(その内容はともかくとして)伝えたいことがあるから必死にフリック入力を習得したに違いありません。必要であれば練習します。


何らかの端末があるのに,生徒がタイピングをしようとしないのは,タイピングの練習をしてないから,タイピングができないからではなく,タイピングしたいことがないから。またはその端末では文章を入力したくないから。


だったら,その端末を使って,自分が伝えたいことをタイピングしちゃいたくなるような,そんなテーマを私たちは設定してあげないといけないのです。そのために,もっと効率良くタイピングを学びたければアプリやサービスを紹介すればいいのです。


お箸や鉛筆


確かに最初に「ちゃんとした」やり方を知っておくこと,身に付けておくことは大事だし効率的です。大人になってからお箸の持ち方で恥ずかしい思いをしたり,鉛筆の持ち方で笑われたりすることを考えたら,幼いうちにやっておくのも意味があります。(高校に入学したらお弁当でお箸使うので慌てて持ち方を直した思い出があります。)


同様に,タイピングだって,正しいホームポジションを身につければスピードも速くなるし,ミスも減るし,疲れにくいかもしれない。そのためだったら自分が打ちたくない文章でもタイピング練習したいと思わせるような,その子にとって伝えたくなるような何かを私たちが作ってあげたい。


楽しくできるタイピング練習アプリやサービスもあるから大丈夫,子どもは楽しく練習していますよという取り組みが無駄だというつもりはありません。単に私は自分ではそういう練習をさせてあげることができないだけです。だから他のアプローチがないかなと考えています。


正解のない問い


STEAMの授業ではよく「正解のない問い」に取り組みます。もう先生が正解を知っている問いに対する答えは正直あまり伝えたいという情熱は持ちにくい。先生も知らない,どれが絶対の正解か分からない,そんな正解のない問いに対する答えは誰かに伝えたいという情熱が持てると信じています。だからタイピングの練習をみんなでやる時間を取るくらいだったら,何か新しいプロジェクトに取り組んでみたいのです。


生徒から「ちゃんとタイピングから教えてほしい」というリクエストもない訳ではありません。全体ではやりませんけれど,リクエストがあれば個人的にお手伝いします。タイピングの練習を否定している訳ではありません。


と,予防線を張ったような歯切れの悪い文章になってしまいました。そういえば,バイエルで習ったピアノはいつまでも練習が好きになれなくて上手くもならなかったな。好きな曲をとにかく弾けるようにと(そして弾けるようになったら絶対にモテると信じて)手にしたしたギターはいつまでも練習できてそれなりに弾けるようになったな。そういう人はきっとタイピングも同じことなのでしょうね。




ちなみにこの記事の画像は中学1年生の授業を見にいった時に驚いて撮影したものです。私たちが教えてもいないのに,フローティングのキーボードが使えることを見つけてきて,けっこうな速さで入力してました。「これじゃないとダメ」とオトナが決めちゃいけなくて,いろんな選択肢あっていいんだよな。

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